多くの離島や僻地が抱える深刻な問題に教育と医療の不足がある。一般に地方は税収が少ない上に、住民が広く僻地に分散しており住民一人あたりの教員と医師は余計に必要となる。地方自治体の負担は重い。
そこで筆者は離島や僻地の教育医療を軍隊で行うことを提案する。
これを仮に離島僻地駐屯部隊と呼称する。
離島僻地駐屯地部隊では、離島僻地の規模にもよるだろうが小型から大型の武装ヘリコプター程度の配備は欲しい。不審船などの出現地域には武装ヘリコプターに機関銃以外に魚雷程度の装備が欲しい。
離島僻地駐屯部隊の任務は以下である。
離島の場合、時折周囲領海を巡回警備する。不審船や不法入国、更に攻撃などの異常があった場合、国防省(創設しなければならない)に即在に連絡し指示を仰ぎ、指示にもとづき攻撃も行う。連絡もリアルタイムに画像を送るなどのシステムで行うのが望ましい。
また攻撃を受けそうな場合の防備のための攻撃や、拿捕、逮捕のための攻撃については、現場の判断で即座に行う。
災害時に即座に出動し映像の形でリアルタイムに国防省に送り状況を知らせる。
災害時に限らず、怪我人や病人など緊急性の高い人命救助は即在に行なう。必用に応じてヘリコプターなどにより病院などに搬送する。事後に報告する。
小中学生が十数人程度以下の場合、駐屯兵士が教育を行う。
防衛大学や防衛医大を卒業した場合、教員資格を与えることにすれば良い。また十年以上軍務についた場合も同様とすれば良い。
現地住民の健康管理、医療を行う。
基本的に治安維持は警察が行い、消火活動は消防署が行う。
ただし地域への犯罪者の侵入があった場合などに、警察の要請にもとづき捜査に協力する。
また刑事事件の現行犯については、逮捕権を与える。逮捕後は警察に引き渡す。
同様に消火も基本的には消防団ないし消防署が行うが、消防署の要請にもとづき消火に協力する。ヘリコプターから消化剤を散布するなど。
具体的には普段は学校教師と訓練を行い、有事になったら即座にそれに対処するというイメージである。
離島僻地駐屯部隊を設けることには、以下の利点がある。
官僚組織別に同じ設備、同じ訓練を受けた人間、同じ施設があるのは無駄である。例えば離島僻地駐屯部隊に武装ヘリコプターを一つ持つだけで、国防、病人搬送、消防などあらゆる場合に用いることができる。
また防衛医大を卒業し医師になれるほどの教養の持ち主なら、小中学程度の国語算数理科社会などの普通科目なら教えることは可能だろう。筆者は小中学段階では、国定科目(国語算数理科社会英語)と郷土科目(郷土の神事舞踏工芸民謡武道など)を教えれば良いと考えるので、郷土科目については郷土の名人を講師に雇えばいい。
僻地の医療教育には恐るべき予算が必用になる。数人の子供を教えるために十人近くの教師がいる場合などもあるかも知れない。
これにより地方の負担は減るが国庫への負担は増える。増えて良いと考える。
なぜなら離島民は領土領海を守る屯田兵としての役目を担っているからだ。彼らがいくぶんか不自由な環境に暮らしてくれるため、人が住むという既成事実となり領土が守られる。
仮に外国が人が住む場所に軍隊をすすめ領土民を拘束、放逐をした場合と、人のいない場所に軍隊をすすめた場合とでは、国際的な衝撃がまるで異なる。ましてや殺害すれば、ただではすまない。
人が住まないがゆえに侵略を許した離島の典型例が竹島である。今現在領土を侵略されながら政府とマスコミは韓国との友好ごっこに明け暮れている。ほとんどバカだ。というか政府は国民から領土管理をまかされているという自覚が全く無いのだろう。まさに政府は憲法の内容通りに、領土領海国民の生命財産を守る戦いを「永久に放棄」している。
人が住むと住まないのでは国家的既成事実の確保という点でまるで異なる。離島民に中央政府(国民)がいくぶんかの負担をすることは必要なことだ。
誤解のないように記しておくが、筆者は現在の軍事予算の範囲内で僻地医療や教育を行えと主張しているのではない。地方財政の大幅な健全化と共に、あたりまえの事ながら大幅な軍事予算の増加を前提として記している。
蛇足ながら道路や橋のような公共事業などは、既に飽和している所が多いだろう。これからは教育医療有事面での助成を行うべきだ。
また離島にあっても中央の情報が円滑に取得できるように、高密度のネットケーブル敷設も積極的に行うべきだ。高密度のネットは、遠隔地での勤務や物産販売を可能にし、僻地一般にありがちな根本問題である職場不足を解消する可能性をもたらす。