国体創造 - 2 外交に関する提言

2.9 話し合いなどではく既成事実をごりおして領土問題を解決せよ

[執筆日:H13/6/16]

 本来外交問題は机上の話し合いなどでは全く解決しない。そんなことは、戦後何十年もの時間の浪費に終わっている北方領土交渉でも明らかだ。実力行使と、なしくずしの既成事実化によってのみ領土問題を含む外交問題は解決する。
 そのなしくずしの既成事実化を可能にするのが軍事である。

1 現在の世界秩序は「話し合い」などではなく戦争や軍事による既成事実化により構築された

 アメリカが小笠原や沖縄を返還したのは、本質的には「話し合い」が原因ではない。むろん、「話し合い」は行われたが、原因は「話し合い」などではない。日本との領土問題による無用の対立を回避する方が得策だとアメリカが判断したからだ。その証拠にハワイをハワイ原住民に返還していない。ハワイを返すことに国策上の利益が少ないと判断しているからだ。

 本来、外交とは自国に有利な既成事実を作り上げていくことと断じることができる。自国のその利権があるのだという既成事実を。
 日本に米軍駐屯が今も続いているのも、武力放棄憲法制定など米軍の駐屯を既成事実化する策謀があったからだ。
 米、露、支、英、仏、印、パキスタンの核武装も、核武装を強行し既成事実化した結果である。
 既成事実化の最もひどい例が、共産支那の植民地支配である。支那は、満州やチベットやウイグルで、虐殺と中絶の強制と漢民族の入植による民族浄化を徹底して行うことで漢民族人口密度を上げることや、彼らの文化を破壊することで、漢民族圏であるという既成事実作りにはげんでいる。こういった既成事実化により、満州では人口比で漢民族が異常に増えた。こういった既成事実化を受けて日本のサヨクなどは「漢民族比率の高い満州の独立には無理がある」と共産支那の支配を正当化するプロパにはげんでいる。
 そもそも国連が特定国に特別な権力を認めさせる既成事実造りの場である。常任理事国である。なぜ国の代表者の集まりの場で特定の国にのみ特別の権限があるんだ?おかしな話だ。これも既成事実化の成果である。

 上記を含む、現在世界各国が持つありとあらゆる既成事実をあらためて見てみると、興味深い事がわかる。全て、戦争や軍事力によりもたらされているということだ。現在存在する国際的な利権のほとんどが戦争と軍事力により既成事実とされたものある。第二次大戦によりもたらされた常任理事国の特権などは、その典型例だ。
 つまりは、現在のあらゆる世界秩序を作り上げている既成事実は(「話し合い」によるものではなく)軍事行動という物理的な行動の結果なのだ。となると、それを解決し補正しうるのも結局は軍事力以外にないというのは当然の事なのだ。

2 「話し合い」は戦後の外交上の諸問題を何一つ解決しなかった

 こういう「話し合い」を過度に期待する勢力がわが国には多い。日本は戦後まともな軍事を持たず「話し合い」のみに明け暮れた結果どうなったか。テポドンを撃たれ拉致被害者は戻らず竹島も北方領土も返らず米軍に日本の領土領空を蹂躙され教科書内容にまでに内政干渉され支那の海底調査船に近海を徘徊されるなど、あらゆる国益と国民の命と国土がないがしろにされてきたのみだ。政府は幾度となく支那や韓国や米国や北朝鮮やロシアと「話し合い」を行ってきたが何一つ解決せず、国民の命も領土も蹂躙されてきた。こういう「話し合い」への信奉がもたらした現実に目を向ける必要がある。全てが無駄だったのだ。

 これら全く無駄に終わってきた空虚な「話し合い」なるものに過度に執着する発想。何かに似ている。「平和憲法」に過度に執着する発想だ。
 軍事的恫喝なしに「話し合い」なる言葉遊びで問題がいつかは解決するという発想。まともな軍備を持たず「平和憲法」をあがめればいつかは平和になるという発想。呪術信仰である。韓国で「竹島返せ」という呪文を百万回唱えたところで、軍事的な背景なしなら、韓国人は右耳から左耳に抜けるのみだ。
 あたりまえのことながら、言葉や呪文では物理的な効果は得られない。呪文が物理効果を与えるような摩訶不思議な国があるとするなら、日本位だろう。日本に来て「教科書書き換えろ」とか「靖国神社に参拝するな」と唱えれば、不可思議にも現実にその通りになったりする魔法の国だ。
 外交問題を解決するのは具体的(物理的)行動という既成事実の積み重ねだ。だからこそ、その既成事実をごりおしうる軍事力(あるいは経済力や文化力や宣伝能力)を高める必要があるのだ。

 そして日本は軍事力や宣伝能力で、アメリカや支那やロシアに比べ立ち遅れている。だから、領土問題をも含むあらゆる外交問題が何一つ解決しないのだ。

 我々は、北方領土交渉という「話し合い」が何十年も徒労に終わっているという事実を認識しなければならない。そしてロシアによる北方領土への軍事侵略が、北方領土のロシア領化という既成事実となり続けているという事実をも認識しなければならない。
 結局領土を画定するのは今も昔も軍事力なのだ。

3 「話し合い」ではなく、軍事力を背景にして、なしくずしに領土を取り返せ

 北方領土にせよ竹島にせよ、なしくずしに侵略されたものだ。ならば、日本も強力な軍備を持ちなしくずしに領土を取り返すべきなのだ。「話し合い」などではなく。
 なしくずしの既成事実化とは、例えば北方領土についてなら災害でも何でもどんな言い訳でもいいから、まずは半分無理やり自衛隊を北方領土に進駐することだ。あるいは会談を北方領土で行い、その際に膨大な自衛官を引き連れる。そしてそのまま駐屯するなどだ。
 竹島については、重厚な海軍力を持った上で膨大な海上自衛隊の船舶で取り囲む。韓国の出方をうかがいそのまま上陸し駐屯する。尖閣諸島も同様にする。などだ。

 これらを行った上で「話し合い」を持てばいい。実質的な支配ができたなら、相手国に名目面でも認めさせる「話し合い」を行うのだ。実質支配ができているのなら、この「話し合い」にはどんなに時間がかかってもいい。
 「話し合い」というものは、結局「既成事実を認めさせること」とか「既成事実に反対だと訴えること」程度の役目しか果たさない。

 韓国から政府関係者の訪日を迎える場合、竹島を接見場所とする方法もある。明確に「訪日」と位置づけ、日本国領土であるという前提に立った上でのみ会うようにするのだ。特に、金くれ援助くれ外交の使者である場合ならなおのことだ。
 ロシアからの接見なら北方領土を接見場所とし、支那なら尖閣諸島を接見場所とする。
 当日は軍艦と共におおぜいの自衛官を引き連れて来る。外国にせよ外務大臣や内閣総理大臣のいる場所を攻撃などできまい。もちろん、接見後も自衛隊が居座りつづける。

 こういう形で日本領であることを相手国に認めさせる手段もある。

4 身近な「話し合い」もまた結局は暴力の裏付けがあって成立する

 読者諸氏の中には

「私は身近な諸問題を『話し合い』で解決してきた。外国との交渉においても同様だ。話し合いによって解決する。」

 と主張する人もいるだろう。この言い草は正確ではない。法治国家における「話し合い」もまた、最終的には暴力の裏付けがあって成立するという前提が欠如しているからだ。
 仮に当事者同士の「話し合い」の結果、こじれたらどうするか。最終的には法的な「話し合い」(つまり裁判)となる。そして法的な「話し合い」(つまり裁判)とは、国家権力(の司法組織)という暴力組織があって成立するものだ。国家権力(の司法組織)が、判決を当事者に強制する暴力を行使する能力を持つがゆえ裁判は裁判として機能する。
 仮に司法が判決を当事者に強制する暴力行使能力を持たなかったらどうなるか。裁判自体が無意味となる。その場合は、争っている当事者自身の暴力行使能力で物事は決まるだろう。

 上記を正確に言うなら、

「私は身近な諸問題を『話し合い』で解決してきた。しかしこじれたら裁判という『話し合い』となる。裁判は国家権力という暴力組織が、判決を強制する暴力を行使することによって機能する。外国との交渉においても同様だ。最終的には暴力(軍事力)によって解決する。」

 が正しい。
 時折、「結局世の中、法を知っているやつが有利なのだ。」などという声を聞く。そういう場合もあろう。これを正確に言うなら、「結局世の中、法という国家暴力行使手順を知っているやつが有利なのだ。」となるのだ。


 前のページ(支那韓国北朝鮮への援助をやめ、彼らの自助努力にまかせよ)に 次のページ(全方位外交をやめろ)